【ビジネス書なし】読書が楽しくなる良本10選【Kindle Unlimited】
Kindle Unlimitedで読めるオススメ本○冊紹介!みたいなタイトルの記事はネットに溢れかえっていますよね。
ぼくはそれらのオススメ集に声を大にして言いたい。
「君たちのオススメ本、ビジネス書ばっかりやんけ!!」
と。
いや、ビジネス書が悪いと言うつもりはありません。
ビジネス書にも良い本はたくさんあります。
何十年と読み継がれてきた名著だってある。
ぼくも人並みにはビジネス書を読んできたからそれはわかります。
でもね、Kindle Unlimitedはいろッッッんなジャンルの本が対象なんですよ。
Kindle Unlimited is 図書館
ぼくはかれこれ3年以上Kindle Unlimitedを使っていますが、このサービスは図書館みたいなものだと思っています。
蔵書はキモイほど多く、返却期限はなく、他の人が返却するのを待つ必要もない、そんな意味不明な図書館です。
こんなに便利すぎるサービスなのに、いざユーザーがおすすめの本を調べてみると、ビジネス書のことばかり強調される……なんてのはもったいないことだなあと。
ビジネス書以外のジャンルにも良い本はたくさんありますからね。
自己啓発とか、スキルアップとか、ノウハウとか、意識ばかり高くなりそうな話じゃなくて、純粋に読書を楽しみたい!
この記事はそういう人(過去の自分)のために書きました。
そんなわけで、この記事では
Kindle Unlimitedで読むことのできる、
知的好奇心をくすぐるような、
ビジネス書「以外」のオススメ本
を紹介したいと思います。
ジャンル的には新書4冊、古典6冊を扱います。
読書が楽しくなる新書(4冊)
1. 大野 茂「サンデーとマガジン~創刊と死闘の15年~」
みんな大好き週刊少年サンデー、マガジン。
コンビニで立ち読みしたことがある人は少なからずいるでしょう。
実はこの2つ、同時期に発売されたんです。
この本では、両誌の創刊に至るまでの経緯に始まり、その後の黄金時代を支えた編集者たちのドラマが描かれています。
生活の中で当たり前に目にするものがどのように生まれ、変化してきたのか。
そんなことに思いを馳せるきっかけをくれる良書です。
作者の大野茂さんはNHK社員(書籍刊行当時,2009年)で、この方の執念すら感じさせる取材能力が本書をヤベー1冊にしちゃったんだろうなぁと思います。
というのも、この本の中に載っている資料や証言は、どれも貴重ということばでは足りないくらい貴重なものばかりなんです。
ページ数からは考えられない情報密度、ビビるぜ……?
両誌の歴史を並行して眺め、互いを比較するからこそ際立つ部分がたくさんあって、最後まで本当に楽しく読み進められました。
ちなみにジャンプは後発のため本書ではほとんど扱われていませんが、終盤に一瞬だけ触れられています。
02. 飯間 浩明「辞書を編む」
新しい辞書の完成を目指して、大人たちが不器用ながらも前へ前へと進む物語です。
2011年に単行本が発売され、2012年本屋大賞受賞、後に映画化・アニメ化もされた人気作です。
「辞書を編む」は、現実に辞書の制作に関わる方が、辞書ができるまでの過程を一人称で書いた本です。
「舟を編む」とタイトルが似ているのは意図的で、帯文は三浦しをんさんが書いています(発売日は「舟を編む」の2年後、2013年です)
この本はあくまで作者本人の目線で書かれており、辞書が作られる過程での喜びや葛藤も存分に織り込まれています。
舟を編むとはまた違った、ひとつの物語として楽しめました。
3. 西林 克彦「わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~」
文章を読むという行為に対する見方が変わる(気がする)本。
帯に「仕事に受験に役立つ一冊!」などと書かれ、まるでノウハウ本のような扱いを受けていますが、知的好奇心をバキバキにくすぐる良書。
作者の西林 克彦さんは宮城教育大学教育学部教授(書籍刊行当時,2005年)で、本の中でも実際に授業で扱った内容が紹介されています。
この本、自分にとってかなりの劇薬でした。
第一章は小学一年生用の国語の教科書で扱われる話を題材に始まるのですが、早速「自分は今まで、なんて浅い読み方をしていたんだ」と衝撃を受けました。
その後も衝撃に次ぐ衝撃で、最後のほうはたぶん音速を超えてました。
「わかったつもり」が実際には全然わかっていないこと、どのようにしてわかったつもりになるのかということ、その状態を打開するためのヒントなど、
それ中学や高校の国語の授業で習いたかった~~~!
と感じる話が盛りだくさんでした。
ちなみに、最後まで読むとセンター試験国語(現代文、小説)を解きたくなります。
そんなことある?と思うでしょうが、ガチです。
これ読んだ方は来年あたり一緒に解きましょう。
4. 森 博嗣「面白いとは何か? 面白く生きるには?」
タイトルはかなりビジネス書の匂いがするけど、エッセイなんで許してください。
ホントに「面白い」から!
作者なりの言葉の定義を逐一書いてくれるので、人の頭のなかをのぞいているかのような感覚になります。
具体的なノウハウが書いてあるわけではなく、作者の考えが述べられている本です。
ビジネス書に書いてあることを鵜呑みにしていませんか?
ちなみに、この記事を書いている時点では他にも森博嗣の「集中力はいらない」というこれまたビジネス書感がムンムンするエッセイがKindle unlimited対象となっています。
こちらも作者が私はこう考える、という話で、なるほどなあと思わせられる内容です。
読書が楽しくなる古典(6冊)
5. ヴォルテール 「哲学書簡」
1734年に発売された考えることの楽しさを教えてくれる良本。
この本、実はフランスでは発売後爆速で発禁になりました。
それでもメチャクチャに人気だったのでなんやかんや読み継がれて、今日の日本でもその翻訳が発売されているというのがすごいところ。
タイトルに「書簡」とあるように、手紙をまとめたような構成で、第一信、第二信という番号の振り方になっています。
一方で、「哲学」とは言うものの、小難しい話を延々とされるわけではありません。
科学や文学、宗教などさまざまなテーマについて、ヴォルテールが「私はこう考えるんですけどね」という話を続けます。
訳者の解説を読むと、ちゃんと順番込みで考えて構成されているなと気付かされてより楽しめます。
光文社古典新約文庫の多くの本で言えることですが、わかりやすい文章で翻訳されておりそこそこ読みやすいですよ。
6. セネカ「人生の短さについて 他2篇」
ビジネス書界隈には「論語に学ぶナントカ仕事術」みたいな古典を都合良く抜き出してビジネスに転用しようとしたような本がたくさんありますが、その原本や現代語訳を読んだことはありますか?
ホリエモンだって多動力で言ってます。
「10冊の流行のビジネス書を読むよりも、1冊の骨太の教養書を読もう」ってね。
オリジナル(に近い)本に触れることで、自分なりに考えてみるのも楽しいものですよ。
この本はセネカの思想がどんなものか知る入門書的な位置づけらしく、読みやすい話がチョイスされているらしいです。実際そこそこ読みやすいかった。
2000年前の話なので当然価値観とか常識とかスッと頭に入ってこない部分も多々ありますが、突き詰めていくと今も昔も人の悩みは同じようなところに行きつくのかもしれないなぁとしみじみする部分も多いです。
ちなみに、セネカの思想はストア派の哲学の影響を強く受けているそうです。
ストイックという言葉はこのストアから来ているらしく。
こういうのを知ることができる副次的なところも古典の面白いポイントですね。
7. 読書について
ドイツの哲学者、ショーペンハウアーの作品。
解説によると、この本に収録されているのは「自分の頭で考える」「著述と文体について」「読書について」の3つで、いずれも「余禄と補遺」(1851年刊行)から訳出されたものらしいです。
ちなみに読書法を説いたノウハウ本じゃありません。
読書はいいぞ!って本でもありません。
むしろ、クソみたいな本多過ぎ!クソみたいな読者多過ぎ!というバチバチな批判が詰まった本です。
それシンプル悪口だろって感じの言葉遣いで笑っちゃうこともしばしば。
でもひと事みたいにケラケラ笑ってると、不意に核心を突かれてしまう、そんな本。
本ばっかり読んでるけどさあ、結局自分で考えていないよね?という箇所は特にぶっ刺さりました。
自分で考える、やってますか?
同じ作者の「幸福について」もおすすめです。
8. 方丈記
短くて読みやすい。
高校生のときに古文の授業でやった人も多いんじゃないでしょうか。
安心してください、この本は読みやすい現代語訳なので辞書を引く手間はありません。
私自身、当時はあくまで勉強の題材でしかなく、その内容について考えることはありませんでした。
でも、こうして読みやすい形で翻訳されたものを読むと、いろいろな発見がありました。
そういう生き方もありかもしれんなぁ…みたいな。
彼は日本最古参のミニマリストだったのかもしれません。
自分で家建てるのは素直に凄いと思います。
現代のミニマリストもいつかはこうなるんですかね。
9. A・デュマ「モンテ=クリスト伯」
別名、岩窟王。
壮大な復讐の物語。
幸せの絶頂にいた主人公が、それを妬んだ3人の男に嵌められて絶望のどん底に突き落とされ、20年以上の歳月を経て復讐をぶちかまします。
めちゃくちゃ長いですが、めちゃくちゃ面白いです。
特に終盤のクライマックス、復讐パートは怒涛の展開で完全に没入してました。
これを読む前にハリーポッターを読んでいたせいかはわかりませんが、翻訳本にしては大きな違和感もなく読みやすい印象でした(ちなみにハリーポッターもKindle Unlimited対象だよ)
この本を読んでよかったなぁと思ったのは、読み終えたときのとんでもないカタルシスを感じられたことでした。
この感覚はビジネス書を何十冊読んでも味わうことはできません。
長い道のりになるでしょうが、ぜひ挑戦して欲しいです。
ビジネス書にありがちな言い回しを使うなら、世界が変わります。
10. 太宰 治「人間失格」
タイトルだけなら聞いたことある本筆頭なんじゃないでしょうか。
恥ずかしながら、僕もちゃんと通しで読んだのは社会人になってからでした。
内容は鬱屈とした感じがありますが、時折わかるわぁ…と感じる部分もあり引き込まれました。
そして何より、文章がめちゃくちゃ綺麗。
スッと文が頭に入ってくる感覚には気持ちよさすらあって、「もう芸術だろこんなん」てレベルでびっくりしました。
もちろん「ん?」と思う単語はあるので、はじめのうちはスラスラ読めるとは言えませんが、文豪ってやっぱりすごいんだなと。
この他にもKindle Unlimitedには文豪と呼ばれる人たちの本はたくさんあるのでぜひチェックしてみてください。