きっかけなんて些細なモンですよ。

狼と香辛料は名作。毛皮交易の本を読んだ。(序章)

狼と香辛料というライトノベルを知っていますか?

狼と香辛料 (電撃文庫)

本作は中世風の世界を舞台に、行商人ロレンスと、狼の化身ホロが繰り広げる旅物語なのですが、経済×ファンタジーという珍しいテーマで描かれた作品です。日常生活に関する描写も細かく丁寧で、非常に読み応えがあります。

狼と香辛料を読んで以来、中世っぽい感じの時代で、商人にまつわる本に興味があったのですが、実際に本を読む機会をなかなか作れず…。しかし大学が夏休みに入ったので、せっかくだからと図書館で本を借りてきました。「毛皮交易が創る世界」(木村和男・著)という本です。

毛皮交易が創る世界―ハドソン湾からユーラシアへ (世界歴史選書)

毛皮交易が創る世界―ハドソン湾からユーラシアへ (世界歴史選書)

 

とりあえず序章は読んだので、内容の振り返りと感想を記録しておきます。

 

序章/世界史のなかの毛皮交易

世界史と毛皮交易

「近代世界システム」(I・ウォーラーステイン)の成立は、コロンブスのアメリカ到達から始まったと言われています。そのプロセスは、香料、銀、砂糖、綿花、タバコなど熱帯・亜熱帯産の世界商品が軸になっているため、「南方からの世界史」と呼ばれます。

一方で、毛皮の生産地は北米でした。毛皮は、北米をヨーロッパやアジアと結び付けた初めての交易商品であり、筆者は毛皮交易が「北方からの世界史」を作ったと考えています。毛皮の貿易額はほかの世界商品と比べて小さかったものの、それは北米大陸の先住民やヨーロッパ列強に大きな影響を与えました。

本書では、毛皮交易の意義について次のように述べられています。

世界史上における毛皮交易の意義は、商業利潤のみでなく、
①これまで未知だった北半球の地理、風土、先住民に関する新たな情報をもたらしたこと、
②この情報に基づいてヨーロッパ諸列強が北米大陸シベリア、太平洋諸島などを一方的に「領土」化し、北半球で最後の領土分割をほぼ完成させたこと、
③これらの地域の先住民をヨーロッパ人との接触に巻きこみ、ほかには見られぬような多様でユニークな「異文化交流」を生み出したこと、
から再評価されるべきではなかろうか。

  毛皮交易が創る世界 p.2-3

毛皮交易が創る世界

毛皮交易による広がりを知る足掛かりに、著者は各国の当時の動向を簡単に説明しています。たとえば、本書の中心となるハドソン湾会社の成り立ちについては次のように述べられています。

イギリスは北米大陸の北を西へ回って太平洋=アジアに到達する「北西航路(ノースウエスト・パンジ)」の発見に、20世紀まで執着し続ける。その過程でハドソン湾が発見され、そこが…毛皮の宝庫であることを知った。ハドソン湾岸での毛皮資源を独占するため、…創設されたのがハドソン湾会社Hudson's Bay Companyである。

   毛皮交易が創る世界 p.3

このほか、毛皮交易にはヨーロッパ、北米、北太平洋、北東アジアを結ぶ壮大な広がりがあったようです。そして、毛皮交易が与えた影響は確かに存在するのですが、残念ながら「毛皮交易の世界史的役割は、日本ではほとんど知られてこなかった」といいます。

本書の課題

本書では、1670年にイギリスで誕生した独占会社、ハドソン湾会社の発展から終焉までの200年間にフォーカスしています。これは、「北半球における毛皮ネットワークの中枢となった同社の活動を検討することは、毛皮交易の世界的な広がりを把握する出発点となる」という考えに基づいているようです。

また、「毛皮交易が創る世界」を理解するために、著者は留意点として次の3つを挙げています。
留意したい3点

  1. ハドソン湾会社の経営の実態
  2. 毛皮交易における先住民の役割
  3. ハドソン湾会社の他国との関係

1. ハドソン湾会社の経営の実態
ハドソン湾会社は、当時のイギリス国王による毛皮交易の特別な許可を受けて始まった会社でした。そのため、現在ではスタートが独占的なものであったことからネガティヴな印象で見られがちなようです。しかし、著者はハドソン湾会社が200年も続いたことには、会社の経営が関係していると考えており、その実態を正しく評価するよう努めています。

2. 毛皮交易における先住民の役割
毛皮交易では、先住民と白人の関係はほとんど対等であったと言われています。これは、ほかの世界商品の場合と大きく異なります。交易者として北米大陸へやってきた男性と、そこで暮らしていた先住民の女性が結婚することも多かったというのですから驚きです。

3. ハドソン湾会社の他国との関係
ハドソン湾会社は世界的な毛皮交易ネットワークの中枢を担っていましたが、その全体像を把握するにはフランスやロシア、アメリカなどの他国との敵対あるいは協力関係を知ることが不可欠とのことです。

感想

というわけで、今回は序章について書きました。読み返してみて、もう少し要点を絞って書くべきだったなぁ…と反省してます。もっとうまくまとめられるようになりたいです。ちなみに、序章には「本書の課題」の次に「研究の動向」という節がありますが、内容が若干専門的なように感じたので省略しました。

以下、感想の箇条書きです。

  • ハドソン湾会社という会社は知らなかった。
  • そもそも交易って?貿易とは違うの?(これについては1章で説明があります)
  • 毛皮が流行った時期は思ったより短い(これは乱獲で毛皮獣が減少したため)
  • 先住民はなぜ交易者との関係を対等にできたのか?

おつかれさまでした。

※これはあくまで個人の感想です。